猫とうさぎとアリスと女王

 「おい、誰だあのガキ共。」


「お譲ちゃん、痛い目に遭いたくなかったらどっか行きな。」


サボを囲む男たちが言いました。

サボはじっとこちらを見ています。
それは、涙をこらえているように見えました。


「マコ!逃げろ!!!来るな!!!」


サボは私にそう叫びました。

弾む息を抑えながら、私は前へと進みます。


「トラ。貴方には心底失望しました。」


トラは下唇を噛み、何かを必死にこらえているようでした。



「貴方なぞ助ける価値もありません。
誰にも何も言わずにこんな所に連れてこられて・・・。
自業自得ですわ。

私、この格好でずっと走って来たのですよ?

靴は走りにくいので途中で脱ぎ捨てました。
そのせいでお気に入りのソックスがぼろぼろです。


私の美学に反します。
ロリヰタが走るなんて、おかしいとは思いませんこと?」


サボは涙を流しました。


「マコ・・・ご免・・・。頼むから逃げてくれ・・・。」


しかし私は聞く耳を持ちませんでした。
貴方の言うことなど聞きたくはありませんもの。

聞いているだけ時間の無駄というものです。


「見てください、サボ。
お気に入りのソックスはぼろぼろ。
靴を捨て、ミニハットを脱ぎ、最高にはしたない格好です。

けれど私がそんな格好で走ってきたのは・・・




貴方が私の親友だったからです。」