ずっと猛スピードで走っていたバイク。
しかしトラは急激にスピードを落としました。

前方を見てみれば、そこには車の長蛇の列。


「姐さん、渋滞ですよ。どうしますか?」


私は聞く耳など持たず、バイクから降りました。


「倉庫まではそう遠くはありませんわよね!?」


ヘルメットを外しながら聞くと、トラは戸惑ったように答えます。


「もうだいぶ走りましたから、あと少しですよ。
・・・って姐さん!どうするつもりですか!」


「待ってらいられません!!!走って行きます!!!」


私は車の間をすり抜け、駆け出しました。
足には多少なり自信があるので、並みの人間よりは早く着く筈。

今は一刻をも争う事態。

こんな渋滞を待っている暇など私には無いのです。


「姐さん!!!俺も行きます!!!」


バイクを乗り捨て、トラも後ろから走ってくるのがわかりました。




ロリヰタ服で走るのは、至難の業でした。

パニエのボリューム。
ドロワーズの走りにくさ。
ゴブランスカートの重さ。

全てが邪魔です。


特に靴はもう履いてはいられませんでした。

少々ヒールの高いハートリボンシューズ。
せめてバレリーナシューズを履いて来ればよかったと後悔しました。


私は耐えかねて靴を脱ぎ捨てました。


もう、全てがじれったい。




早く行かなくてはいけないというのに!!!