もう何時間も経った様に思えました。

私はずっと携帯電話を握り締め、サボから連絡が来ないか待っていました。
隣ではトラが携帯電話で仲間と連絡を取り合っています。

電話を切るたびにトラは「大丈夫ですよ」と言ってくれました。


何十本めの電話でしょうか。

ついに有力な情報がトラの元に届いたのです。


「本当か!?確かだな?わかった!
姐さん!サボの兄貴は西区の港にある倉庫にいるらしいです!!!」


私はそれを聞き、すぐさま立ち上がります。


「姐さん!乗ってください!」


トラは駆け出す私を止め、バイクの後ろに乗るように言いました。
ヘルメットを装着し、トラはバイクを出します。

轟音と共にバイクは走り出しました。




風を切る音が五月蝿いほどでした。

トラはスピードを上げ、車の間を縫っていきます。


バイクに跨るのなど久しぶりでした。
昔はよくこうやってトラの後ろに乗せてもらったものです。


そんなくだらないことを考えながらも、サボのことが心配でなりませんでした。



西区の港倉庫。


気持ちばかりが急いて、苛立ちが募ります。



早く・・・早く!!!

サボ、待っていてください。