私は酷く動揺しましたが、できるだけそれを隠して口を開きました。


「あ・・・そ・・・ど、どなたからお聞きになったのですか?」


冷や汗がじわじわと肌に感じられます。
どうしよう・・・。

サボは涼しげな顔をして言いました。


「いや、誰からも聞いてねえよ。見てて分かったけど、カマかけたら簡単に引っかかっちまった。
シーナの方から電話してもらって正解だったぜ。」


サボはふふんとほくそ笑んでいます。

こんな簡単な罠に引っかかってしまうなんて・・・一生の不覚。


「卑怯ですわよ!ひどい!」

「安心しろ、誰にも言いやしねえから。言った所でなんのメリットも無えしな。」

「いちいち癇に障るような言い方をしないで下さい。追い出しますわよ。」


するとサボはケタケタと笑いました。
サボはシーナとは違う笑い方。大きな口で思い切り笑う。


「じゃあ親切にしてくれたから、マコにいいこと教えてやるよ。」


私はサボを睨みました。
もうサボなんて知りません。信用もできません。


「シーナのこと、知りたくねえのか?」


その言葉を聞いて、私の信念は脆くも崩れ去りました。

だって好きな人のことならばなんでも知りたいものですもの。

サボは笑って耳打ちをしました。
部屋には二人しかいないのに。

けれど私はサボの言葉を聞いて血の気が引きました。




「あいつさ、ゲイなんだよ。」




外は雨。


月は見えませんでした。