よくこんな所にこれだけの人が集まったものです。
以前より人数は増えたのでしょうか?

私の姿を見て、広場の人間たちは騒ぎ始めました。


「おい!黙れてめえら!!!」


トラが皆を静めます。

そして私は足を軽く開き、お腹の底から声を出しました。



「謝罪の言葉を述べても、貴方たちは受け入れてくれないかもしれない。
けれど貴方たちにしかできない!
頼めるのが貴方たちだけだから、今日限りここに戻ってきた!

貴方たちにドラッグを売った人間、国政組に私の友人も絡んでいる!
彼が今、生きるか死ぬかの瀬戸際にいるの!

今さら何を言っても聞いてはくれないかもしれない。


けれどこれを、この裏新宿反逆グループ“ヴァインズ”のリーダーの頼みとして聞いてほしい!!!!」


一瞬静まり返った広場。

しかしすぐに皆の咆哮が辺りに響きました。


私を知っている人間の方が多いものの、中には信用しきれていない人間もいます。



「てめえら、聞いたか!!!リーダー直々の命令だ!

マコトさんはてめえらを信用してここに来てくれた!
“ヴァインズ”のリーダー、マコトさんがだぞ!!!
てめえら感謝しろよ!

いいか!探してる人間は顔と耳に複数のピアス!髪型は短髪!
身長は175cm前後!!!

てめえら死ぬ気で探せよ!!!」


トラの助けがあり、皆はちりじりに散っていきました。


「有難う、トラ。」


トラはにっこりと微笑みました。


「奴らの情報網は並じゃ無いですから、すぐ見つかります。
安心してください。」


私はその場に座り込みました。

少し、足が震えてしまって立てないのです。



久々に慣れないことをしたからでしょうか?




けれどよかった・・・。

皆、変わっていないみたいで安心しました。


私はひと時の休息を味わうのでした。