「あの・・・サボの家はお金持ちでは無いのですか?」


私は思い切って聞いてみました。
サボはポトフを頬張りながら言います。


「別に。フツーの家だよ。」

「だってガスと水道が止められてしまったって・・・。」

「支払い忘れてただけだよ。今ボロアパートで一人で暮らしてるから?」

「何故ですか?」


サボは私を見ました。


「お前はここに一人で住んでんのか?」


私が住んでいるのはごく普通の一軒家。

そこには家族で住めそうなほどのスペースと部屋は十分にあります。
やはり一人で住んでいるのはおかしいでしょうか。


「ええ。」

「なんで?」

「・・・お父様と、一緒に住めない事情があるからです。なのでお母様も今は別の場所に一人で・・・。」

「俺も似たようなもんだよ。事情があるんだ。」


サボは神経が図太そうで、図々しくて、能天気なようですが、意外と苦労をしているようです。


「おかわり。」


サボはそう言ってポトフの入っていた皿を空にし、私に突き出しました。