寒空の下、陳腐なクラッカーの音が鳴り響きました。

クラッカーから出た紙くずは見事サボに命中。
サボは目を点にして、何が起こったのか理解できていない様子です。


「何だよこれ・・・。」

「お祝いです。」


私がにこやかに言えば、サボは眉間に皺を寄せて紙くずを払いました。


「何のお祝いだよ。」

「何でもいいじゃない。
私たちがせっかく祝ってあげてるんだから。」


イオがサボをなだめている時、私はこっそり持ってきた箱を出しました。


「何それ?」


シーナが箱を覗き込みます。


「今日、みんなで食べようと思ってシェフに頼んでおいたのです。」


私が箱を開けると、三人は歓喜の声を上げました。

中には大きなショートケーキ。
ついつい私も笑顔になってしまいます。


「すっげえ美味そうっ!!!」

「お祝いですから。」

「だから何のお祝いだよ!」


私はイオとシーナと顔を見合わせてしまいました。
さて、このお祝いをなんと命名すべきでしょうか?


「・・・サボが更生したお祝い?」


するとサボはまた眉間に皺を寄せます。


「あのなあ、俺が刑務所に入ってたような言い方すんじゃねえよ。」

「でもサボ、刑務所に入ってもおかしくないようなことしてたじゃん。」

「シーナ、刑務所じゃなくて少年院じゃない?」


「てめえらいい加減にしろよ・・・。」


私はそれを見てつい笑ってしまいました。


「とにかくコレ食おうぜ!皿とかフォークは?」


サボが私を見ました。
それに続いてイオとシーナも私を見ます。


「・・・それって私が用意すべき物ですか?」


三人は同時に頷きました。