まるで嵐が心臓を吹き抜けて行ったよう。

私の心は始終、早鐘を打っているようでした。

これが恋なのでしょうか?
ねえ、神様。


「あれがマコの待ち望んだ王子様?」


私はイオの瞳を見つめ頷きました。
何回も、何回も。

まるで今の出来事が夢では無いと証明するように。


「確かに素敵な人ね。」

「イオもそう思いますか?あれほど王子様という言葉がピッタリな方はいませんわ。」

「でも・・・。」

「でも?」


イオは何かを考えているようでした。


「いえ、何も無いわ。帰りましょう。」


けれどそう言っていつも通りにっこりと笑うのでした。

先程は何を考えていたのでしょう?

けれどそれを問い詰める訳にもいかず、問い詰めるほどのことでもないと思い、私はイオと帰路についたのでした。