猫とうさぎとアリスと女王

 浅い夢を見ました。


私は浅瀬の川を見つめて、ただ立っていました。
綺麗な川。都会にこんな川があったのかと思いながら見つめていました。

するとシーナが横を通り過ぎました。
そして川を渡っていきます。

水はシーナの膝くらいまであり、それをかき分けるようにシーナは歩みを進めます。


“シーナ、待ってください。危ないですわよ。”


私がそう言ってもシーナは足を止めませんでした。

一人にはなりたくない。
もしかしたらシーナが流れにのまれてしまうかもしれない。

私もシーナの後を追おうとすると、私の髪を何かが引っ張りました。
何かと思い振り向けば、そこには大きなうさぎが立って私の髪を掴んでいます。


そこで目が覚めました。



「起こしちゃった?」


目の前には私の髪をねじって遊ぶシーナがいました。

どうやらここはシーナの部屋のベッドの上のようです。
何故こんなところにいるのか、私にはよく思い出せませんでした。


「おかしな夢を見ました。」

「どんな夢?」

「綺麗な川を、シーナが一人で渡ろうとするんです。
それを引き止めようと思って私も後を追おうとしたら、誰かが私の髪を掴んで・・・。
振り向いたらそこには大きなうさぎがいました。」


するとシーナは柔らかく笑いました。


「じゃあ僕がうさぎだったんだ。」


シーナは私の髪に口付けをします。

柔らかい日差しの中で、体がぽかぽかとしてとても気持ちがいいです。
先程まで眠っていたというのにまだ眠れそう・・・。

お布団も太陽のいい香りがします。


日の光に混じって、シーナの匂い。




こんなにも心地のいい目覚めは久しぶりです。


すると私はあることに気がつきました。



あら?あららら?


私・・・お洋服が違います・・・。




嘘!?シャツ一枚しか着ていません!