数日後トラから連絡があり、私は家へと呼び出しました。


「これが、日比谷岳志の現住所です。」


トラは私に一枚の紙を手渡しました。
そこには岳志さんの住所、そして素性について書かれています。


「両親は二人とも健在で兄弟はナシ。
現在はShina La Soleilというブランドのデザイナーの一員として働いています。
今月末に同僚の女性と結婚予定。と同時に出産も来年に控えています。」

「有難う御座います。助かりましたわ。」


私がその資料を見ていると、トラは疑うような目で私を見てきます。


「な、なんですの?」

「ソレ、姐さんのコレですか?」


そう言ってトラは親指を立てます。


「まさか。」

「じゃあ誰なんですか。姐さんの家の跡取りとか言いませんよね?」

「くだらないことを言うのは止めてください。」


資料に目を通し終わり、私は立ち上がりました。


「さて、そろそろ準備をしなければ。」


トラは不思議そうな目で私を見ます。


「今日の用事はこれだけです。トラ、本当に有難う御座いました。
あとは例のドラッグの件、早急に密売元を探ってください。」

「分かりました。」


もう日が暮れているので、今日発つのは無理でしょう。


準備をして、明日の朝行った方が良策と言えます。




待っていてください、シーナ。




私はどうしてもこのままでは終わらせたくないのです。





貴方と、岳志さんとの恋を。