少し茶のかかった長い髪。
切れ長の目。
長い睫毛。
桃色の唇。


私は一瞬にして頭を働かせ、初めて出会った時の王子様と今目の前にいる人物との顔を重ねました。

やはり間違いではありません。


貴方はにっこり笑ってこう言いました。



「また会ったね。」



やっぱり、やっぱり!

これは夢ではありませんわよね?
私の目の前にいる方は幻ではありませんよね?

そう思うと何故だか感情が高ぶってしまい、私は涙を一筋流しました。


「どうして泣いているの?」


貴方は笑って言います。


私は震える声を必死に抑えて言いました。


「覚えていてくださったんですね・・・。」


「ついこの間のことだもの。
忘れるわけが無いよ。」


そう言って王子様は私の涙を指で拭いました。






私・・・王子様とお話をしている。



私・・・王子様に触れてもらっている。







まるで夢のようです。