猫とうさぎとアリスと女王

 「シーナはアクセサリーは付けないのですか?」


私はアクセサリーの入ったショーケースを見ながらシーナに尋ねました。


「絵を描くときに汚れたりするからつけたりはしないな。第一持ってないし。
ネックレスとかも首周りが気になるからあんまり好きじゃないんだ。」

「ほら、こういうのはどうですか?アーマーリングとか、スカルリングとか。」


私は指をさしてシーナに勧めます。

装飾品をつけるのがあまり好きでないのなら、無理には進めませんけれどね。


「僕はこっちの方が好きだな。見てよこれ、ってよく見えないな・・・。」


シーナは店員さんに頼んで、ショーケースの中にあったバラのリングを取ってもらいました。


「ほら、リングのところがレリーフみたいになってる。芸術的じゃない?」


バラリングはトップにはバラのモチーフが描かれ、リング部分はレリーフのようになっていました。


「もし私がその指輪をシーナに差し上げると言ったら、シーナはそれをつけてくれますか?」


先程のお洋服のお礼に、シーナに対して何かしてあげたかったのです。

私がそう訊くと、シーナは考えてからこう返答しました。


「じゃあ、黒とピンクの二色欲しい。」


そんな可愛いことを言うものですから私は快くそれを承諾しました。

店員さんにその旨を申し出ると、サイズを聞かれたので私はシーナを見ます。


「えっと・・・どのくらいのサイズまでありますか?」


シーナと店員さんは奥へと行ってしまったので、私は一人お洋服を見て時間を持て余していました。


そしてお会計を済ませると、シーナは

「有難う。」

と微笑んで言ってくれました。



BABYのピンク色のショップバッグを持つシーナは、奇妙とも滑稽とも言えましょう。

私はそれが妙に面白くて、ふと微笑んでしまいました。