「わりぃなぁ…朝まで描いてたんだ。つい寝ちまって」
相変わらずぼさぼさの髪をくしゃくしゃとかきあげる
「つい寝ちまってじゃねぇよ。3時だぜ？よく眠ったなぁ」
呆れたという具合に忍は言い放った。
「早く準備しな、画廊行くんだろ？」

そう言うと忍は持っていくべき絵を慣れた手つきで車に運び、エンジンをかけて雄一を待った。

雄一は素早く顔を洗い、そこらへんにちらかってある服に着替えると、くしゃくしゃの髪のまま外へ出た。
念のため、忍が運んでくれた絵の点数と保存状態を確認した後、車に乗り込んだ。

忍のワゴンが発進する。
雄一の家から出ると美しい緑の世界が続いた。
優しい木漏れ日がキラキラと道を光らせ、時々車の中の２人の頬をも光らせていた。