浅い眠りの中、雄一は不思議な夢を見ていた。

子どもの頃の自分が、美しい花畑の中で、花の精の胸に抱かれている。
花の精は金色の髪、美しい顔立ちに優しい微笑みを浮かべている。

花が香っているのか、彼女が香っているのか分からない程に、周り中いい薫りに包まれていた。

柔らかな胸の中。優しい腕。なんと心地の良いことか。

やがてなにも思考できなくなる。

なにもかもが嘘で、その何もかもが本当なのだと思える。

常に矛盾しているが、それが真実なのだと、
花の精が笑って教えてくれた。