とたんにネオの表情がぱっと輝く。

「しーきぃーっ!」

教室の隅のこの席にもしっかり
聞こえるくらいの大声。

クラスじゅうの視線が注がれた
のが気配で分かった。

藤崎さんは訝しげな表情をして、
となりの女子グループは目を丸く
していた。口をぽかんと開いて
いる者もいた。

そりゃそうだ。
なんでこんな女が?と思う
のが普通だろう。

ネオはクラスの視線を無視して
こっちへ歩み寄ってくる。
憎たらしい程の満面の笑みで。

「入部届けもらいに来ちゃった。
印鑑もらってきたぁ?」

にこにことあたしを見下ろして
両手を差し出すネオ。

あたしは黙って鞄の外ポケットから
捺印済みの入部届けを取り出し
ネオの掌にのせた。

「はーいありがと。今日から活動
だからねぇ。部室きてね」

「…はい」

「ちょっと待ってください」

ネオの後ろから声がした。眉根
に皺をよせた藤崎加奈が腕を組
んで仁王立ちしていた。

「どうしたのー?藤崎さん」

ネオが振り返って尋ねる。

「どうしたも何も、どういうコト
ですか?ネオ先輩。なんで水野サン
が写真部に入部するんですか?」

「なんでって…おれがスカウトした
んだよー?センスあるからさ、色は」

相変わらずニコニコと
しているネオ。

藤崎さん、明らかに怒っている。