階段をかろやかな足取り で降りるその人。 必死でついてゆく。 階段の踊り場に写真が 飾られているのがちらりと 目に入る。モノクロのそれから 目をそらして、彼についてゆく。 窓の外に、桜という花が 並んで咲いていた。 灰色の空と白い花弁。 きれいだと、思った。 目の前の、彼のことも。 彼がひとつの部屋の前で 立ち止まった。 白い引き戸の上に、古ぼけた プレートが飾られていた。 明朝体で、写真部と書いてある。