分厚いレンズを通して見る 世界はいつもモノクロだった。 比喩ではなくて、全ての ものが辛うじて形を保っていて いつも物の輪郭を捉えるのに 必死になっていた。 ただ、白と黒とその中間の色で あたしの世界は創られていた。 それでも特に不便はなかった。 あたしにとって世界は 色を持つまでもない くだらなくて小さくて 面白くないものだったからだ。