1階に降りると、正面玄関に専用車が止まっていた。


「お疲れ様です、社長」


帽子を取って、あたしに一礼する運転手の真山さん。


「お疲れ様…。こんな時間にごめんなさいね?」


彼は24時間いつでも迎えに来てくれる、社長専属の運転手。


「いいえ。これが仕事ですから」


ニッコリと笑顔を見せる真山さんに、あたしはいつも癒されている。


「今日は真っ直ぐ帰宅されますか?」


「ええ。里海も寝ているので…」


あたしは、膝の上で眠る里海の頭を優しく撫でた。