『あら、○○がどうしたの?』

…え?
何でそんなに普通でいられるのだろうか?

『あ、今変わるわね。』

そして一旦受話器を置いた音がした。
おかしい、あり得ない。僕が言うのも何だが、○○はさっき、死んだはず。




…それにしても長いな。



…まだ出ないのか?


…風呂でも入っているのか?いやいや、あいつは死んだんだ。そんなはずは
















【ド ウ シ テ ミ テ ク レ ナ イ ノ 】



















「!?」


突然だった。何の前触れもなく、甲高い声で声が受話器から聞こえた。
そして、電話は切れていた。

無意識に手が震える。


何があったんだ。


どうして、こんなことが起きる?
唯一つ、何となくだけど言えるのは、


《おかしいのは僕だけ》


だった。
けれど事故は確実に起こった。死傷者もでた。
僕の友人を除いて、だけども。

もう一度、現場を見渡す。僕は、ある決定的な違和感を感じた。



あの一枚岩が、無い。



まだ焦げたトレーラーまでもが残されているのに、回収されるはずない。あの時僕がいたはずの場所は、何もなかった。



冷たい風が頬を撫でる。


何故だろう。心音が大きく聞こえる。


ここにいてはいけない気がする。