「えっ、そうなんですか?」
エーマリリスさんの所に向かう間、色んな話をリーグは聞き、そして驚いた。
彼女が、僕たちより年下だと言う事。
彼女のお母さんは病気で死んでしまった事。
そして何より衝撃的だったのが、彼女には妹がいたという事。その妹が誘拐され、今は生きているのか、死んでいるのか、それさえもわからないという事。
驚きの声をあげるだけで、リーグは言葉を続ける事が出来なかった。
「生きていたとすれば、十二歳くらいですね。」
それを聞き、リーグの頭にひとりの顔が浮かんだ。エリシアだ。アイワイほどじゃないけれど、エリシアも整った顔立ちをしている。ただ、育ちの悪さがそう見えないようにしてしまっている。
「どうかしましたか?」
考え込んでいるリーグの顔を見て、アイワイは聞いた。
「あ、いや、村にいる友達の事思い出しちゃって。ちょうど妹さんと同い年だし、一瞬もしかしたらなんて思ったんですけどね。なにしろ、そいつ、育ちが悪くて・・・。アイワイさんみたいな品の良さのかけらもないんですよ。」
「・・・そうですか。」
空気が重くなった。

「あ、ここです。着きましたよ。」
リーグはホッとした。この空気感の中、一緒にいる自信はない。もっと彼女を見ていたいけれど、それはまた別の機会がいいだろう。お礼もそこそこに、リーグは部屋の中に消えていった。