・・・。
何も起きない。
「な、なんでダメなのよ。これが出来なくちゃ、リーグを、イバーエを探せないでしょ。みんなは、ふたりが死んだって言うけど、そんなの信じない。世界中のみんながそう言ったって、絶対に信じない。じゃないと・・・私・・・また、一人ぼっちになっちゃうよ・・・。」
地面に膝をつきうなだれた。
その時だ。エリシアの見ている地面が、まるで水面のように波紋を作った。
「えっ?」
そこから小さな鳥のような生き物が現れた。
「これって?」
両手に取って、それを観察した。どう見ても土で出来ている。普通の生き物とは思えない。
「私がやったの?」
自分の力を信じられない。何度か周りを確認するが、他に人の姿は見えない。この生き物が、言術で生まれたとすれば、エリシア以外にいない。
「もう一度試してみよう・・・。」
言術を唱えようとした。その時、砂の城が崩れるように、その生き物は崩れていった。
「やっぱり、普通の生き物じゃないんだ。やっぱり、私がやったんだ。」
興奮した。もう一度、力を試さずにはいられない。
「lot。」
また、怒鳴った。
今度はさっきより大きな鳥だ。言術に慣れてきた証拠だ。
「これで、これで、二人を探せるよ。」
雨は、まだ降り続いていた。でも、エリシアの心は晴れ渡っていた。