lotlotlot

「ふぅん、なんか聞いても魔法と違いがわからないね。」
「やっぱり・・・。言ったろ?エリシアに説明したって無駄だって。」
「・・・。」
僕も無駄な気がした。でも、エリシアが怖くて言えなかった。
「うるさいわね。だって、呪文?みたいなのを唱えるのは一緒じゃない。」
エリシアはリーグに突っかかった。
「だから、そこから先が違うんだよ。この間、イバーエのじいちゃんがやってたろ?ただ、lotって言っただけで、地面が盛り上がって壁を造ったろ。その前は、同じ言葉を唱えて、空飛んでイバーエを探しに来ただろ。魔法だと、こうはいかないんだって。」
リーグは、じいちゃんの事が大好きだ。もしかしたら、僕より好きかもしれない。だから、こんな話になると熱くなるのだ。
「?・・・全然わかんない。」
「だからぁ・・・。」
そこで僕は、再び止めに入った。
「落ち着きなって、ふたりとも。あ、エリシア・・・これならわかるんじゃないかな?」
そう言うと、僕はしゃがんだ。
「これならわかるって?」
エリシアもしゃがんだ。リーグは、はじめ渋っていたけど、少しすると同じようにしゃがんだ。
僕は土に拾った木の枝で、文字を書き始めた。
「さっきの話に戻すとさ、魔法のエフスってこんな風に書くんだよ。」
“エフス”
僕は地面に書いた。
「で、さっきリーグが言ってた、じいちゃんが使ったlotって言うのはこう書くんだ。」
“lot”
エリシアは納得した。
「ふぅん、字が違うんだ。」
「そう。字が違うんだよ。これだけでも、言術と魔法が違うってわかってもらえるよね?」
「うん、それはね・・・。」
エリシアは続けた。
「でも、字が違うだけで、やっている事は魔法と同じだよね?」
僕はリーグの顔を見た。僕と同じ顔をしている。呆れて何も言えないと言う顔だ。
「うーん、エリシアにも、そのうちわかる時が来るよ。」
笑ってごまかすしかなかった。