「お、おじさん、大変!」
エリシアが大慌てで扉を開けた。
「どうした、エリシア?何をそんなに慌てているんだい?」
チェアでうたた寝をしていたリーグの父は、少し寝ぼけながら答えた。
「大変なの、とにかく大変なの。」
「だから、何が大変って聞いているんだが・・・。」
エリシアは誰と会話しても、なかなか話がかみ合わない。さすが空気が読めない女だ。
「うんと、とにかく、とにかく、じゃ、外を見て。」
「外?」
窓の外に、大きな緑の柱が天に昇っているのが見える。
「あれは・・・?」
「でね、あそこで、大変なの?」
「あれの事を言いに来たんじゃないのかい?」
「あれは・・・よくわかんない。でも、それより大変なの。」
「もっと、わかるように説明してくれないか?」
「えっと、私、リーグたちを見かけたから、丘の方に向かっていったの。そしたら、大変な事になったの。」
リーグの父は、だんだんエリシアと会話するのが面倒くさく感じていた。
「それで・・・?」
「すると、あの柱が昇っていって・・・それから、それから崖が崩れたの。」
「崖が?」
「うん、でね、そこにリーグがいたの。イバーエも。一緒に落ちちゃったの。」
リーグの父は、崖に向かって走り出した。