「なんか変な音しない?」
「するな、何かが割れるみたいな音だ。なんだ?」
ピキ、ピキ、ピキ。
本当に小さな音だ。
ピキ、ピキ、ピキ。
音が大きくなった。世界が少し斜めに見える。
「あれ、どうしたんだろ?」
どんどん、どんどん斜めになる。けど、斜めになっていたのは、僕たちだった。半狼を倒す時に使った言術、そのあまりの力に、僕たちの立っている崖は耐えられなくなっていた。
ゆっくりと、大地から切り離され、谷に向かって落ちる。