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僕の涙に呼応するかのように、雨が降り出した。そして、すぐに大雨になり、悪魔の元である火を消してくれた。
小さな煙は、まだいくつか残っていた。けど、僕は気にしないで、家の中を探した。
「じいちゃん、じいちゃん。」
大声を出す。じいちゃんの声が聞こえるように、耳を澄ます。その繰り返しだ。それを何回繰り返しても、じいちゃんの声は聞こえない。リーグの父が言ったように、どこかに出かけたのかもしれない、そう思い始めた時だ。
僕は躓いた。
木にしては、妙に柔らかい感触だ。
「ん?なんだ?」
足下を見た。
そこに大きな黒い塊があった。
目をこらす。何かを知ろうと、僕は目をこらした。その中に、僕のよく知っているものがあった。
じいちゃんのベスト。お気に入りで、いつも着ていた紫色のベスト。その一部が燃えずに、その存在を誇示していた。まるで、じいちゃんがここにいると、僕に知らせてくれているように感じた。
「じ、じいちゃん・・・?」
違っていてほしい、そう思いながらしゃがんだ。怖くて、足が震える。それを強引に押さえつけながら、しゃがんだ。
紫色のものを触ると、ベルベットの独特の感触が感じられる。間違いなかった。
たぶん、うつぶせに倒れているであろうじいちゃんを抱え起こす。煤で汚れてはいるけれど、それはじいちゃんだった。
「じい・・・ちゃん?」
現実が受け入れられない。火事なんて、じいちゃんからすれば、取るに足らないアクシデントのはずだ。だから、今、僕が抱えているのが、じいちゃんだなんて信じられなかった。