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「駅につけば、勝手に停まります。短い間でしたが、楽しかったです。どうか、お元気で。」
深々と頭を下げた。同時に口が閉まる。中は真っ暗だった。

足と足の間から、カタツムリの目のように目が飛び出る。これが出発の合図だ。目が伸びた途端、中が明るく、外の景色を映した。
「うおっ、すげぇ。」
ゆっくりと前に進み始めたのがわかる。
景色の流れが速くなる。スピードが上がった証拠だ。それでも全然揺れない。確かに快適な乗り心地だ。
「見た目と違って、なんか乗り心地だけはいいね。」
「そうだな。見た目と違って。」
くだらない話をしながら、もう来る事のないだろう街の景色を楽しんだ。
「ねぇ、リーグ。」
「何?」
「今、気がついたんだけどさ、僕たち、めっちゃ見られてない?」
僕に言われ、リーグは外を確認した。
沿道の人は、確かにこっちを見ている。中には指まで指す者もいた。
「確かに。でもさ、こいつ、こんな気味悪い格好しているんだぜ。そりゃ、見るだろ。」
「そう言われれば、そうかも知れないけどさ。なんか、気になるんだよね。」
「気にしすぎだって。」
リーグにいくら言われても、僕は気になってしかたなかった。

駅に着いた。人だらけだ。僕らの村の何倍、この駅にいるんだろう。て言うか、村がいくつ、この駅の中に入っちゃうんだろう。それくらいに大きかった。
鞄から切符を取り出す。
“00ホーム 15時28分発”と書いてある。
時計の針は、まだ三時を過ぎたばかりだ。十分に間に合うと思っていた。

なのに・・・。どこ?どこ?どこ?
まるでわからない。そもそも、僕たちの村より、駅の方が大きいって時点であり得ない。焦った。