「しまった。」
急にエーマリリスさんが叫んだ。
「ブリア、今日は何日だ?」
「はい、十日でございます。あっ・・・。」
「そうだ、今日はボンボヤージュに向かう日だ。それなのに“リストランテ ボンボヤージュに向かう”がない。」
エーマリリスさんにとっては、リーグとアイワイさんが一緒に出かけた事よりも、そのなんちゃらに行けない事の方が重要みたいだ。
「あわわわ。」
ブリアさんは狼狽している。その様子から見ても、かなりの事らしい。
「いかがいたしましょう、旦那様?」
「ブリア、聞くか?聞かんでもわかろう?」
「かしこまりました。旦那様。」
百八十度回転し、ブリアさんは走り出した。

「イバーエ君、すまんが君もブリアを助けてやってくれないか?」
まさか、僕がそんな頼み事をされるなんて、これっぽっちも思ってもみなかった。返事をするまで、かなりの間があった。
「イバーエ君?」
「あ、はい。ちょっと、ちょっといってきます。」
急いで追いかけた。
でも、僕が思っていたより、ブリアさんはかなり駆け足が早いらしい。追いついたのは、しばらくしてからだった。