恋めぐり

「仕方ねぇだろ」

こんな臭い所で何をさせる気なのだろう。

「政宗がお前の家で竹刀と木刀を見たそうだ」

「護身用よ。一人暮しは物騒だから」

「かなり使い込んでたらしい」

「知らない」

「最初にぶん投げられたときに、手に剣ダコあった。心得ぐらいはあるだろ」

心得はないわけはない。

彰と猛流と先生の剣道道場に通っていた。

二人は高校でも部活で続けている。

私は中学一年で止めた。

「もし心得があったとして何?」

「新入部員の相手をしてやってくれ。こっちは地区大会まで時間がないから。剣を持って構えてるだけで良いから」