「ちゃん、…由希ちゃん!」 「んえ?」 ぼーっとしていた私の名前を呼んだのは我がチームの部長である日田緑。 そして私の素っ頓狂な声に笑うチームメイトたち。 「ぼーっとするな!」 軽く私の頭を叩いて「練習再開するよ」と言った緑ちゃんは初々しさたっぷりで少し笑ってしまった。 「はーい」 一つ遅れて返事をするといつも通りの練習が始まる。 夏の生ぬるい風が体育館に吹き抜けた─