「ひゃぁぁぁ」
シオはひょいっと私を抱き上げ歩き出した。
右手は私の背中に。
左手は私の膝裏に。
これ、世間でいうお姫様抱っこってやつじゃ……
「やだやだ!恥ずかしい!シオの馬鹿っ!降ろせぇ!」
私はバタバタと暴れてみたけれど、シオには全く効いてないようだ。
「じっとしないと怪我するよ。それとも、この靴で歩く?」
いつの間に脱がせたのか、私の靴をシオが持っていた。
私の膝を支えている方の人差し指で、ストラップ部分を引っかけている。
無残に壊れた靴……
「でも、人の目ってもんが…」
「関係ないよ。俺らは俺らだ。むしろ、俺は世界中の人間に見せてやりたいけどね」


