「那智に嫌われたくなくて……抑えてたんだけどな、今まで」 不敵に笑みを浮かべるシオ。 ふと目をそらして、また深く、私を見つめるまなざし。 緩やかな風になびく髪。 キリリと結ばれた、薄い唇。 違う。 見た目はシオだけど、私の知ってるシオじゃない。 ……誰?誰なの? 私は怖くなって、後ずさった。 「きゃ…」 「那智、危な」 グラッ 私は道路の段差につまづいて、派手に尻餅をついてしまった。