瞬間、強い風が吹いた。 今の私の声はシオには絶対聞こえなかっただろう。 嬉しいような、ちょっと物足りないような。 不思議な気分。 乱れた髪を空いた手で直していたら、シオが繋いでいた手をパッと離した。 「シオ?」 「よく……誤解されるんだ」 シオは私に向き直って、いつにない真剣な眼差しで私を見つめた。 吸い込まれそう、……陳腐な表現だけど。 とにかく、 私はこんなシオ、初めて見た。 空気が、揺れた気がした。