猫っかぶり彼氏。〜天然王子＝俺様彼氏①〜

……シオはきっと、どうして私が笑うのかわかっていないんだ。


ガムを上から握りこむようにしてレジに出すシオの姿を思い出した。

シオの手がもうちょっと小さかったら、指でつまんでレジに出していたら。

きっと今のこの瞬間はない。


「なんで笑ってるの？」

「教えなぁいっ」

私は笑いながら、

「シオって、初めて話した時から変わらないよね、のほほ〜んってしてて、すごく安らぐ。」


そこまで言って、私は思わず。

『ちょっと強引さが足りないけど、ね』


ってシオに聞こえないように、小さな声でつぶやいた。