こんな時でも、シオは私を気遣ってくれる。
私が悪いのに……

「ありがとう。私は大丈夫、歩こうか」


そんなシオが愛しくてしょうがない。


本当は……履き慣れていない靴だし、少し不安はある。長く歩けば足が痛くなるのは明確だ。


でも、これ以上迷惑をかけられない。少しくらい痛くても、平気な顔でいよう。


「緑が綺麗だしね」

シオにつられて窓の外に目をやると、新幹線を降りた時とは全く違う風景が広がっていた。


私は植物の事なんて、全然詳しくないし興味もないけど。


その風景は私達が住んでいる市街地には有り得ないものだったから、とても感動した。

ここが、私達の初旅行の地。
私たちの、思い出になる地。