シオは、私をくるりと向き直らせてから、仰々しい封筒を私に見せた。


ギラギラとした水引の間から見える、『特賞』の文字。


私はいきなりのことにあっけにとられた。

いや、正確に言えば、頭の隅にはパスタが残っていたけれど。


「何なの?それ。」

素直にそう聞くと、シオは待ってました、とばかりに早口でまくし立てた。

「商店街の福引きで当たった!なんかね、今まで適当に財布に突っ込んでた福引き券集めたら2回回せてね、なんと特賞!」



もう、それはそれは嬉しそうに笑うシオ。


彼の笑顔を見て、つられて笑う私。何、ゴキブリホイホイでも当たったの?

商店街の福引きなんて、どうせたいした景品じゃない。

でも、正直にそう言うのも気が引けたから、素直に喜んだふりをした。

「すごいじゃん!なんなの?景品って」


「なんとね、伊豆温泉旅行2泊3日!しかもペア!」

私は虚をつかれて、思わず聞き返した。
「嘘だ!本当?」


「本当だって!!」