「お客様〜!困ります〜!」 女将が、走りにくそうな着物で私達の元に来ようとしていた。……意外とスピードが速い。 隣には、いかにも強そうな板前を連れて。 「ヤバイ、那智、逃げるぞ!」 シオは私の手を引いて走った。 「え?あ、うん!」 私は、シオに半ば引きずられるようにして、その場を後にした。 まさか、シオがこんなに強い、なんて。 思いもしなくて。 口はポカンと開いたまま、シオの背中を見つめていた。