じりじりと暑い季節がとうとうやって来た。
嗚呼。夏だ。
頬をつたう汗を拭い、俺は今日も学校へ向かう。
肩に提げられた鞄はぱんぱんに膨らみ、肩に食い込んでいた。

「お、重い……」

汗のせいか鞄は体にへばりつき、この体勢のまま歩くのは……。辛いです。

「いくら学内の図書館の貸し出し期限が今日までっつったって、なんで青春真っ只中の野球男児みたいな鞄を持たなあかんのだ。……俺がそんだけ借りたせいか、いいや!違う!!あんなレポートを書かせる教授のせいだ!!そうだ!」

な~んて、いくら大声でわめこうと鞄が軽くなるわけではない。
逆に体力を消耗するだけだ。

そうやって独り言でぎゃーぎゃー騒ぎつつも目的地は駅からほんの五分。
大学は目の前だ。

「冷房っクーラーっすっずしーなー」

――いざゆかん!夏のオアシスへ!!
――今行くよ~マイハニー(図書館)

男は暑さも忘れて図書館へと駆け出した。