『この教室は、問題の多い生徒も多いようですが、それも進級する頃には治るでしょう。』
ガシャンッ
誰かが机を蹴った。
誰が蹴ったのかを見るには、勇気がいる。
だけど狩野は、それにも動じなかった。なんか慣れているみたい。
『それより、今日の入学式はお疲れさまでした。黒川先生に騒いでいた生徒もいたようですが、今後そのようなことがないように。』
さっきのギャルの子達は、口々に何か言っている。
『何か？』
この笑顔の裏には、沢山の意味がある。
『もう今日はいいでしょう。チャイムが鳴るまでは、廊下に出ないこと。起立ーっ』
『礼』
すると、狩野は、教室を余裕そうに出て行った。
先生といい、生徒といい怖い人ばかりだった。
