「あたし…、もう無理と思う…。だって本人がそんなこと言ったら、別れたと同じじゃんっ…。」
溢れる思いは素直で、溢れる涙はあなたへの愛情を示していた。
『もう、いいってことか。』
小さく頷くと、清水さんはため息をつき、運ばれたコーヒーを一口飲んだ。
『じゃ、このこと健太郎に言っとくから。いい?』
「ありがと…。」
『自分で言えないわけ?』
芭菜さんの言葉に、耳を疑った。
「え…。」
『ななに言わせるだけじゃん。自分なんもしてないのに、そいやって泣いてなんになんの。』
芭菜さんは、冷たいココアを手で包み込みながら言った。
『芭菜、言いすぎだって。言おうかって言ったのは、あたしの方だしさ。』
清水さんの言葉も、聞こえないふりをして話を続けた。


