「あたしっ、別れてなんかない…!」

『そんなむきになんなよ。あたしだって噂で聞いたんだから、本当かどうか知らないんだよ。』

「別れてないっ…!」

健はどんな気持ちで、あたしのことを話したの?

あたしと健のことだから、健しか知らない。

『あんた、健太郎に聞けないだろ?だからあたしが聞いてやるよ。』

「いいっ!」

『何でだよ。』

「怖いんだよぉ。健が…、健が別れたって言ったらあたし達、本当に終わりじゃんっ…。」

『健太郎はそんなこと言わねぇって。』

「嫌だ!」

『もう帰るなら帰れ。あたしは興味本位で聞いとく。あんたには何の関係もねぇよ。』

あたしは溢れる涙を拭い、生徒で賑わう廊下を走り続けた。