――後日
あたしは、健と付き合って一回も学校に、行っていなかった。
学校には、あたしを知らない風がいる。
それに気を使って、あたしに話し掛けてくるクラスの人もいる。
それが嫌で、家で過ごす毎日だったが、あたしは今日、学校へ行く。
あの日から、健からの連絡は一度も来ない。
だから、直接会って聞くことがいっぱいあるからだ。
「いってきます。」
『いってらっしゃい。』
車の鍵を指にかけているお父さんが、手を振った。
家を出て余裕を持って、通学路を歩く。
『ねぇ、あれ…。』
同じ学校の子が、あたしを指差しながら何かコソコソ言っている。
きっと学校に来てなかったからだと、心に刻みながら、道を進んで行くと、道の先に風が見えた。
「風っ!おはよぉ。」
後ろから声をかけると、風は迷惑そうに振り返った。
『あかりちゃん…。』
風の泳いでる目からは、戸惑いと周りを気にしているのが分かる。


