「風！風ぇ！どうしよう！ねぇタツ！どうしよう！」
『そんな、俺に言われても…。…あっ！琴乃さんに頼むか？』
「琴乃さん…？」
『あぁ。大将さんっていう、かなり強ぇ彼氏いっから、トモでも押さえられるかもよ。』
「お願い…。その、琴乃さんに頼んで！」
『今から電話してみるよ。』
「お願いっ、早く！」
『待ってろ。』
するとタツは、ケータイの電話帳を探り、琴乃さんの電話番号を矢印ボタンで選択した。
ﾌﾟﾙﾙﾙﾙ〜
何度かのコールで、電話から雑音が聞こえた。
『もしもし？』
かすかに聞こえる、琴乃さんらしき可愛い声。
『あっ、琴乃さん？俺、タツだけど。』
『分かるわよ〜。ディスプレイに映ってるっつの。』
そんな琴乃さんの冗談にも笑わないタツに、不審を覚えたのか、琴乃さんは静まり返った。
『どうしたの？なんかあった？』
『いや、今さぁ、アゲやってんだけど、』
『またぁ？』
