「あっ、これは違うんです!あのぉ〜、なんていうか…。」
急にこのことを、黒川先生に隠したい気持ちが出来た。
『彼氏か?かっこいいなっ』
黒川先生は、タツの肩を軽く叩いた。
違う、違う。
タツはそんなんじゃ…。
それに、先生と一緒にいる女の人は誰なの?
『じゃあな。』
行っちゃう。
でも…、先生が行ったって、あたしには何の関係も…。
『あっ、川辺。彩子…、この人は、彼女じゃないからな。』
先生が振り向いて言った。
「えっ…。」
『教師仲間なんだ。彼女がいるとか、噂流すなよ?』
「なっ、流しません!」
先生は、いつもの笑顔でホテルを出て行った。
『今の先生?』
タツが、先生の背中を見ながら言った。
「うん…。」
『かなり若くない?』
「うん…。」
『っていうか俺、彼氏じゃねぇし。』
彩子さんって人と、教師仲間だったとしても、何でホテルなんかにいたんだろう。
しかも、かなり親しげだったし。


