ガチャ
声が聞こえないように、わざと遠くに行ってタツがしゃがみこんだ。
『お前が泣きながら助けてとか言うから、どうしようもねぇじゃん。』
タツは顔を赤くして言った。
「何で助けてくれたの?」
『なんとなく。』
「……ありがと。」
『でも、代償は払えよ。』
そう言うと、あたしの唇を奪った。
びっくりして、抵抗も出来ない。
キスは長いけど、抵抗したら、もっと引き寄せられる。
『キャハハァ そんな感じ、駿って!』
遠くから声がしても、タツはキスを止めなかった。
タツの胸を軽く叩いても、まるっきり無視。
そして、足音は近づいて来た。
『うんうん、分かる!』
女の人と男の人が、あたし達の目の前にいるのが分かる。
それに気付いたのか、タツはようやく唇を離した。
「ハァハァ…、…先生!?」
目の前にいる、この男の人は、黒川先生。
『あ、おう…。』
すると、タツを不審そうに見た。


