しばらく駐車場で待っていると、鍵の音をたてながら黒川先生が走って来た。

『はい、とりあえず中入って。』

車に乗り込むと、先生の香水の色っぽい匂いと、車の匂いが混ざっていて、なんだか良い気持ちに浸っていた。

『このことみんなには言うなよ。』

『分かってます、先生っ!』

『で、家ってどこ?』

「えっと、麻坂町…。」

『麻坂かぁ。の、どこで降ろせばいい?』

「じゃあ、駅で。」

『わかった。』

麻坂に着くまでは、三人で久々に色々な話をした。

『ここでいい?』

「はい。」

『じゃあ、先生。ばいばーい。』

『さようなら。あ、川辺!いつもここまでバスで帰ってんの?』

「はい…。」

『俺が送るよ。』

「いや、いいですよ。」

『お母さんに連絡しとくから。』