ケータイを閉じて、テレビを付けようとリモコンに手を伸ばすと、外からサヨの鳴き声が聞こえた。

ピンポーン

インターホンを取ると、すぐにお母さんだとわかった。

『お母さん。』

「あー、はいはい。」

廊下を走って、玄関を開けるとお母さんが疲れきった顔で笑っていた。

「おかえり。家いいとこあった?」

『あぁ、それがね、お母さんの中学の頃の友達に会ってさ、別荘貸してくれるって。いいかな?』

「えっ?」

『家賃も払わなくていいらしいし、家具はある程度揃ってるらしいよ。ついでに一軒家だって。』

「ちょ、待って。そこってここから遠い?」

『少し遠くなるよ。学校大変だろうから、行きはお母さんが送っていくよ。』

「そういう問題じゃなくて…。」

弘樹、小春ちゃん、バイト…。

焦りのせいか、鼓動が早くなった。