すると、何もなかったように、廊下に消えて行った。
『すげぇな……。生芭菜。』
「知ってんの?芭菜…さん。」
『あかり、知らなねぇの!?有名だよ!一つの町、仕切ってるって噂だよ。喧嘩も強ぇし、彼氏も怖ぇんだって。』
「へぇ…。」
『だから、うちに言ってって言ったんだよ。それに、近づかない方がいいって、みんな言ってるよ。』
そして、帰りになった。
健は、先生と話あるからって、一緒に帰れなくなった。
沈んだ気持ちで校門を出ようとしたら、校門にヤンキーの塊がいた。
怖かったから、裏門に回って出ようと門を押したら、校内でなにか鳴るのが聞こえた。
校内放送だと思い、そのままゆっくり門を出て坂を降りようとした…が。
『川辺!!』
後ろからあたしを呼ぶ声がしたから、振り返ると、黒川先生が走ってきていた。
「あっ、先生。」
『何やってんだ!?』
「え?」
『ここ、通っちゃいけないらしいぞっ 早く帰れ!今狩野先生が来てるから、ややこしくなるぞ!』
「…えっ」
『ほら早く!』
「あ…ありがとう先生!」
『うん、いいよ。』
軽く微笑んだ先生が騒がれるのも、無理はないと思った。
急いで坂を降りて、見えないところで振り返ってみると、黒川先生が、狩野に頭を下げていた。
「黒川先生…。」
そして、声は聞こえないけど、狩野は怒った様子でその場を立ち去って行った。
下を向いた黒川先生が、あたしに気が付いたのか、驚いた顔をした。
あたしが親指を立てて、グッドと、すると、黒川先生は笑ってピースをしてくれた。


