ウルトピが大神官の座についてから20年が無事に過ぎ、華やかな祭典が開かれる事になった。フィユーは妖精なので人と同じには歳を取らない。
その為トゥエンティはずっと召喚された時と変らぬ姿だった。
だがウルトピは歳をとった。
トゥエンティと出合った頃まだ25歳にも満たなかった彼は、すでに初老を迎え様としていた。
「あなた方妖精族と違って我々人間は歳を取るのが早い」
 ウルトピは微笑んで言った。
「あなたは本当に変らない。伝承のとおりです。フィユーは神秘の妖精族です。いわゆる不死の一族ではないにも関わらず、美しく、そしてとても魔力に優れ、更に優しく強い。 私のフィユーがあなたで良かった。 あなたが私のそばにいて助けてくれたおかげでどれほど助かった事か、言葉では言い表せません。 本当に感謝しておりますよ、私のトゥエンティ。 実はこの20年祭を羅針盤祭といいます。 もう少し早くお話するつもりでしたが、私が20年生きていられるかどうかも解りませんでしたし、あなたも私にお聞きにならなかった。 なので、今までお話致しませんでしたが、あなたは羅針盤祭をもって任を解かれます。 自由になるのですよ」
「あら、そんなの困るわ」
 トゥエンティは本当に心底仰天して言った。
「それって、この神殿から追い出されるってこと? 困るわ。私行くところがないんですもの」