「どうした、シルヴァン」
 途方に暮れたようにトゥエンティが泣き出したのを聞きつけたのか、銀色の鳥リュフトヒェンと、巨大なリスのような生物が顔を出した。トゥエンティは一瞬、息が止まった。
「びっくりさせたかな。 ・・・いや、怪しいもんじゃない。 ここの家の持ち主で、えー、まあ、妖精の一種というか、シェンルカという。 この世界の普通の一般市民で、名はフェルランス・デソロ・ハンスィード、一応これでも学者なんだけどね。 ハンスと呼んでくれたまえ」
 銀色の翼の鳥が、そういえば俺も名乗ってないなあと呟く。
「俺はバードソウルの片割れ。 リュフトヒェン。 そっちがパートナーのシルヴァン」
 しゃくりあげながら、トゥエンティが言った。
「私はトゥエンティ。 鎖名しか知らないの。 真名が思い出せない・・・ないのかも知れないわ。 フィユーだってみんな言ってたから疑問に思ったこともない。 ウルトピがそう教えてくれたの。 シルヴァン、あなたはフィユーではないの? 私と同じ銀色の髪をしているわ。 だから私追いかけたのよ」
 シルヴァンは困ったように笑い、それからトゥエンティの肩に手を置いた。
「私は確かにフィユーでもある。 でもその前にバードソウルなんだ。 だからフィユーでない」