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今日の任務は、昨日襲われた隣町の確認だった。
他のクラーヂマンに行かせればいいと思ったりするけど、
最近、皆が皆忙しいらしく。
世界各地にクラーヂマンが任務に行っている状態だ。
「‥今回は、資料の通りか?」
静まった街。
大通りだった道には
売り物であったのだろう果物や野菜、
雑貨が散乱していた。
よく目を凝らして見れば、壁には血が飛んでいたり。
でも、そこまで酷く飛んではいない。
「モルダ、今日治安署に全く戻ってないでしょ? ずっと用事だったの?」
「ん、まぁな」
襲われた家の中を覗きながら、リビアンはモルダに質問攻め。
誰と会ってた? どこにいってた?
そう尋ねるけど、モルダが答えるのは曖昧な返事だけだった。
「この家も、誰もいねぇぞ」
俺はそう言うと、家の外に出た。
キラキラと光る星の中、真っ赤な月が出ている。
‥あの日と、同じだな。
三日月だけど、真っ赤な月だ。
昨日の任務の時、リビアンは言った。
『ドルガーに襲われた街で、人は生きている。‥なのに、大怪我している人は一人もいないわ』
そう、襲われた跡はあるんだ。
怪我人の1人や2人はいてもいいのに。
悪く言ったら、死体があってもいいのに。
なのに、何も無い。
‥まさか、喰われた?

